活動日記

2024/05/12

太陽フレア

「太陽フレア」が発生し、世界各地でオーロラや磁気嵐が観測されています。今後は、電気を帯びた高エネルギー粒子や強い電磁波が地球に到達する見通しで、人体には影響がないと言われていますが、通信衛星やGPSなどに影響が出る恐れがあるといわれています。専門家の間では“新たな自然災害”という見解もあり注意が必要です。

太陽フレアという現象は、太陽の表面に見える黒点周辺で起こる大規模な爆発を言います。大きいものでは吹き上がる炎が地球の直径を超えるようなケースもあり、まさに「天文学的」な規模の現象です。日本でも以前から観測が行われていて、太陽の黒点の磁場が変化する時にそのエネルギーが周囲のガスに伝わって発生すると考えられています。そして、その爆発に伴い、電波やX線のほかに、電子や陽子などの電気をおびた素粒子が飛び出し、そうしたエネルギーが「太陽風による磁気嵐」となって地球に到達する事が分かっています。

総務省の「宇宙天気の高度化のあり方に関する検討会」によると、太陽フレアの影響によって、人工衛星に不具合が生じて、天気予報の精度が低下したり、GPSが狂って位置情報にずれが発生することで、カーナビゲーションが使えなくなったり、航空機運航における衛星測位ができなくなることが予想されています。 また、通信に障害が発生して携帯電話や防災無線などが昼間に断続的に使えなくなるほか、磁気嵐の発生で変圧器が故障、電力供給にトラブルが発生するなど、我々の生活に必要なインフラの広範囲において様々な問題が発生することが報告されています。

過去には下記のような事例がありました。

  • 1989年、カナダで電力会社の設備が磁気嵐の影響で故障し、約9時間にわたり停電が発生。
  • 1994年、世界各国の人工衛星で内部帯電が発生し、通信衛星・放送衛星に障害が発生。*内部帯電:放射線が人工衛星の外壁を貫通し基板間や誘電体に帯電する現象。
  • 2003年、スウェーデンで送電システムが磁気嵐の影響で停電発生。
  • 2003年、JAVA(日本)のものを含む数十の人工衛星や惑星探査機が機能障害が発生。
  • 2022年、スペースX社(米国)が2月に打ち上げた通信衛星49機のうち、40機が磁気嵐の影響で喪失。

以上の事から、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は「太陽の活動は約11年周期で活発化を繰り返していて、次のピーク(活発期)は2025年頃到来する」と警鐘を鳴らしています。そこで、私たちは日頃からこのような“新たな自然災害”が今後も起きるという事を理解しておく必要があります。そして個人で出来る“備え”としては、今のところ停電対策しか考えられません。〝太陽“は古代から信仰の対象にもなり、人間では手の届かない存在の物理的変化には、成すすべもないのが実態ですが、人類は宇宙の中で生かされていることを今回の太陽フレアを調べていて実感しました。

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