活動日記
海上自衛隊の信用失墜

海上自衛隊の不祥事が続いています。国家の安全保障上の機密情報にあたる「特定秘密」を違法に取り扱っていた事件に続いて、“潜水士”が手当を不正に受給していた事件の報道に自衛隊OBの一人としてショックを受けています。
海上自衛隊に限らず、すべての自衛隊は規律が厳正で、順法精神が必要です。ところが、この二つの事件は明らかな“法律違反”で、規律の乱れが原因だと思います。そして、この事件によって陸海空すべての自衛隊が国民からの信頼を失うだけでなく、国際的な信用も失うような重大事件です。
特に、「特定秘密」を資格がない者が取り扱っていた事件は、日本の安全保障上あってはならない基本的な事項です。例えば、私が陸上自衛隊勤務の時に、部隊の「年度防衛計画」は部隊の情報幹部に任命されて「適正検査」に合格して初めて見る事が出来ました。それほど防衛秘密は見る事が出来る自衛官を限定して作戦計画などの機密事項が漏洩できないように厳重に管理されているものなのです。それが、資格のない者が防衛秘密を扱っていたとは、正に指揮官の保全意識の欠如と職務怠慢といっても過言ではありません。
また、潜水士が実際に潜っていないにもかかわらず不正に手当てを受け取っていた事件は、限られた大切な防衛費・税金をだまし取った訳で言語道断の事件です。もし、これが潜水の所属する部隊で日常茶飯に行われていたとすれば、一度部隊を解散して新たにスタートするくらいにしないと戦闘部隊として任務を果たすことができません。
今回の事件は、自衛隊・自衛官が長年地道な訓練とPKO活動更には災害出動などで国民の信頼を得てきたものが、一瞬のうちに失われるもんです。私に限らず多くの自衛隊OB達がショックを受けていると思います。一日も早く調査を終えて新たなスタートをして、国民や国際的な信用の回復に努力して欲しいと思います。
*参考:海上自衛隊の護衛艦など乗組手当は、護衛艦の乗組みになると俸給月額の43%、潜水艦の乗組みになると俸給月額の55.5%が加算されます。潜水士は任務や訓練で潜る時の深度に応じて、最大で時給約1万円の手当が支給されます。また、航空手当は、航空機搭乗員としての勤務になると、該当する階級における最低の号俸の60%が加算されます。
