活動日記

2023/10/17

自衛隊員の政治的中立

衆議院補欠選選挙が行われている佐世保市内で、木原稔防衛大臣が自民党候補者の応援演説をした際「自民党候補者を応援する事が自衛隊の苦労に報いる事になる」と支持を訴えたと聞いて、何を言っているのか!いう思いでした。それは、自衛隊法で自衛隊員の政治活動で許されるのは“選挙権の行使”だけで、票のとりまとめや特定候補者への投票依頼などの活動は一切認められていません。そのような事から、木原防衛大臣の発言は自衛隊法だけでなく、公務員の政治的中立に違反するものです。記者の質問に木原大臣は「誤解を生むのであれば撤回したい」と答えていますが、誤解ではありません法律違反なのです。防衛大臣としての地位を利用し、政治的に中立であるべき自衛隊を政治利用しています。

ところで、私が自衛隊勤務時に注意していたことは、あらゆる選挙の際に朝礼などで部下隊員に対し「政治的中立を守る」発言をするという事でした。自衛隊の中には、自分で支持する政党や様々な政治思想を持っています。その中で、特定政党や候補者を応援するよう指示する発言をしてはいけないと考えていました。それは、自衛隊法に自衛隊員の政治的中立が明記され、入隊時には「政治的中立」を宣誓しているからでもあります。 

更に、自衛隊は自民党の為にあるのではなく、国民を守る為に活動しています。そういえば、以前稲田朋美元防衛大臣が東京都内の選挙の応援演説で「防衛省・自衛隊を代表して、自民党候補に投票をお願いします」、更に「自民党候補が当選した方が、都と自衛隊の連携がうまくいく」と言って問題になったこともありました。

自衛隊員は、国民を守る為に一生懸命訓練を行い、災害派遣や海外での邦人救出などの任務を行い、多くの国民の信頼を得ています。一方で、今回の様な政治家の法律を無視した発言で自衛隊の信用を落とすような行為は慎んでほしいものです。自衛隊OBとして、今回の木原防衛大臣の発言には大変失望しました。

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