活動日記

2023/09/13

対馬市が「核のゴミ」処分地の候補に!

長崎県対馬市の議会(特別委員会)が、原子力発電で出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分地選定の為の「文献調査」を受け入れる請願を採択したとのニュースが話題を呼んでいます。対馬は韓国に隣接して毎年韓国からの多くの観光客でにぎわう島です。その対馬市が、核のごみ処分場を受け入れるとなれば水産業や観光産業に大きな影響を受ける事は間違いありません。私は10年前に県議会の仲間と対馬市を視察し、島の長い歴史や今でも続く韓国との交流や、風光明媚な場所が忘れられません。

ところで、受け入れの第一段階の「文献調査」が決まれば、対馬市には約20億円の交付金が入り、その後の段階に入れば新たに約70億円の交付金が入ってきます。人口の減少が続き財政的にも厳しい対馬市にとっては、この交付金は確かに魅力です。しかし、最終処分場の誘致は今の世代だけでなく、将来にわたる世代にも影響が及ぶ重要な問題です。対馬市が交付金と引き換えに『核のごみ』を引き受けることが島の将来にとって本当に良いことなのか慎重に考える必要があります。現在、市民は賛成派と反対派で完全に二分化していて、今後も対立は続くと予想されます。

さて、現在「文献調査」を受け入れているのは北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村の2か所でそれぞれ2020年11月に始まり、原子力発電環境整備機構(NUMO)が作業を進めています。しかし、調査期間の2年を過ぎても結論は出ていないために、第二段階に入っていません。

この最終処分場は、増え続ける原発の廃棄物を処分するという、とても重要で難しい問題です。これに手を上げるのは、過疎化が進む自治体が多いですが、一時的な交付金で自治体の少子高齢化や人口減少が改善できる訳ではありません。自治体の首長は、自分たちの世代で街を二分化して対立が次の世代まで続けば、交付金をもらっても街づくりが思い通りにいかないと思います。今後対馬市議会は本会議で「文献調査」受け入れの請願を可決された場合、最終決定者の比田勝尚喜市長は市の将来をよく考えて賢明な判断をして欲しいと思います。

*最終処分場の選定は①文献調査(2年程度)②概要調査(4年程度)③精密調査(14年程度)の3段階を経て決まります。文献調査実施で国から最大20億円、概要調査に進むとさらに最大70億円が交付されます。

*文献調査とは、 最終処分場事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が、2年程度かけて地質図や学術論文など過去の文献を調べ、適地かどうかを評価します。

 

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